半クラッチ
From:眞田
今はどうなっているのか知りませんが、私が自動車免許を取得した20年前はMT車免許かAT車限定免許かを選びました。多くの人がMT車の免許を選択していたような気がしますが、大昔のことなのであまり覚えていません。
AT車はアクセルを踏むだけで発進できますが、MT車はクラッチを踏んだり離したりの動作が必要で、これがはじめはうまくいきません。クラッチを踏んだままだと車は動かないし、離しすぎると車がガクンガクンと揺れたり、エンストしてしまいます。いい感じで半分クラッチを踏んで、動力を伝える必要があります。
教習所にいくたびに、今日こそはスムーズに発進するぞ、と思って気をつけるのですが、やっぱり車が揺れてしまいます。クラッチの扱いに問題があることは間違いなく、指導教官も教えてくれるのですが、なかなかコツがつかめないでいました。
あるとき、私を担当してくれた教官が「クラッチを半分あげたところで止める、という意識でいると踏む力が弱くなって自分が気づかないうちにクラッチがあがってしまう。『止める』ではなくて、半分あげたら『軽く踏む』と思ってやってみたら」とアドバイスを与えてくれました。
その通りにやってみると車をスムーズに発進することができ、あ、もう自分はこの問題からは解消された、と認識できました。どんよりとした灰色の雲を抜けて、太陽が照り輝く明るい空に出た感覚。悟りを得、涅槃に到達することができました。
私はとても興奮して、あなたは素晴らしい指導者だ、と感謝をたくさん伝えました。教官は、何こいつテンション上がってんだ?と戸惑った様子でしたが、私は興奮しまくって鼻血が出そうでした。私にとってはこの教わったことはまさに「秘伝」でありました。
私にとって秘伝ではありますが、ほとんどの人がこれを聞いても興奮しないし、価値も感じないでしょう。実は秘伝を受け取るためには、公開鍵暗号方式における「公開鍵」と「秘密鍵」が必要なのです。