後世畏るべし

「今の若いもんは・・・」

 

いつの世も、若者は上の世代にこう言われ続けます。

 

私も上の世代になってきて、スマホなどに夢中になっている姿を見ると「おいおい、そんなところに一番大切な時間を使っていていいのかよ」とついつい思ってしまったりしますが(笑)、でも基本的には、若い人は自分よりすごい、後世畏るべし、という考えを持っています。

 

若い人たちは、歴史の最新の知識、知恵、経験を教わることができるわけですし、あとはいろいろと思うところもあり、とりあえず、若い人の方が能力的に優れていると考える方が私にとっては自然です。

 

プロ野球のOBの方は「自分の世代のほうがすごかった」といったりしますが、絶対に今の野球選手の方が上手だと私は思います。50年前の選手と今の選手が戦ったら、現役選手のぼろ勝ちでしょう。プロ野球記録をみると昔の人がすごい記録を出していますが、これは組織が成熟していないがゆえにすごい記録が出やすかっただけです。

組織が成熟していないとバラバラに値が散らばりやすく、組織が成熟してレベルが高くなると中央の値に集約されていく、という難しい理論があったような気がしましたが、まさにそれでしょ、と今思いました。

 

勉強に関しても、若い世代はゆとりなどと揶揄されます。勉強内容は昔より少なくなったのかもしれませんが、問題自体は今のほうが難しいと思います。

 

私は法学部だったので司法試験の問題をガシガシ解いていましたが、これ簡単だなあと思う問題は昔の昭和の問題で、むむむ、これはどうやって答案を練り上げようか、そう頭を悩ます問題は出題年がつい最近だったりします。これは資格試験を目指す人は過去問をやり込むはずなので、誰もが感じていることだと思います。最近の問題は難しくて昔の問題は簡単。

 

愛知県の高校入試だってそうです。今の問題は本当に難しい。「先生はなあ、高校入試は満点だったんだぞ」なんて言ったって何の自慢にもなりません。レベルが違いますから。

 

あと単純に自分の中学生時代を振り返ってみても、当時の自分よりも優れているなあと思える生徒に毎年たくさん出会います。そんな子たちはうじゃうじゃいます。だから、胸ぐらつかんだり、恫喝したり、立場を利用してひどい扱いをしたり、罵声をあびさせたり、そんなことする気には到底なれません。今は少し経験があるから偉そうなことをできたとしても、数年後にはあっさり抜かれています。すぐに立場逆転です。

 

私はこの仕事をして10年たちますから、もう昔の生徒が結構大人になっています。生徒だった当時、「この子は気配り、バランス感覚、洞察力あらゆる能力が優れてるな。将来、大きくなるぞ」と思っていた子はやっぱり大きくなっています。そのうちの1人と、一年前塾を立ち上げる直前くらいにご飯にいったとき「先生はこれから0から1を生み出すんだね。一番大変だけど一番楽しい時だね。頑張って!」といわれて「はい、がんばります!」なんて言っていました(笑)

 

威厳なんてあったものではありませんが、虚勢を張って偉そうにしていることより、東京で家庭教師で教えていた子が「先生に会いにいってもいいですか?」と言ってくれたり、近況報告や相談を毎回携帯の電池が切れるまでしてくれたり、「肉」と一言電話くれたり(これは、焼肉につれていってくれ、という意味です 笑)、私にとってはこっちのほうが大切ですし、価値があります。

こういう関係が続いていったら、もしかしたら、数十年後、私がひもじくしていたら、ご飯をごちそうしてくれるかもしれませんし。

 

ということで、

後世畏るべし

 

この戒めはしっかり胸に刻んでいきたいと思います。