面談で思ったこと その1

成果の出る勉強方法はある。しかし、それを伝えてもほとんどの子はやらない

というような話をお母さんとしました。

みんな効果的な勉強方法を知りたがります。そしてその方法を知ることさえできれば、成績が上がっていくと思っている。でも実際はそうではありません。やり方を教えてくれと言われれば教えるのですが、それで実際に成果を出す人は少数派です。

中学生にいってもやりません。高校生もやりません。

特に高校生の勉強は難しいですし、量も多いのでやり方は大事だと思います。こうするとセンター試験で8割超えてくるよ、とアドバイスしても、その通りにやり続ける子は一部です。そしてその子だけ本番で8割を取ってきます。

みんなやらないのです。

なぜやらないのか、ここの思考がとても大事になります。これ、と簡単に結論づけられるものではありませんが、いくつか理由は考えられます。

一つ目には大変さがあげられると思います。周りから抜け出す成果を上げるためには、周りと同じことをやっていてはダメで、それはしばしば大変になりがちです。その大変さに耐えきれず、途中で挫折してしまう。

二つ目は先の姿が見えないことがあげられるのではないかと思います。続けていっても成績が上がっていく予感がしないと途中でやめてしまいます。でもその予感が間違っているからこそ、今の学力が低いことを認識しなくてはなりません。

三つ目は短期思考です。人間みんなが持っている短期思考は成長を阻害します。短期思考の闇を拭い去ることができるか、これは訓練が必要ですが、本当に大事なことです。

四つ目はこの塾に限ったことですが、私の説得力不足です。私の言葉に強い説得力と影響力があったら「あいつが言っていることは間違いない。やっておいて損はないはずだ」そう思わせることができます。でもそうなっていない現実がある以上、私の実力不足です。実力アップは私の生涯の課題です。

そういえば、とても興味深い話があります。

私の知り合いに投資家がいて、その方が他人に勝てる相場の取引手法を具体的に教えたそうなんですが、勝てないそうです。やらないのだそうです。

それを聞いて、「やっぱりそうか、勉強と一緒だ。すべてにおいて大事なところは一緒だ。」と思いました。

投資で勝つ方法を知っているとは、すなわち、億を稼ぐ方法を知っているというのと同じこと。多くの人が「資産が億になるの?それならやります!!」と目を輝かせて答えるはずですが、でもやらないのです。というかやれない。100人に教えたとしたら、おそらく99人が資産を減らして「全然勝てないじゃん」と文句を垂れて終わりです。

勝てる方法なのに負けるのです。不思議ですよね。おそらく、これがどういうことなのか理解できる人は少ないのではないでしょうか。私はこの感覚が腑に落ちるまで相当な時間がかかりました。

だから本物の投資家は「やり方を教えてください!!」と目をギラギラさせた人に懇願されても、決してやり方を教えないのです。それはケチだからではなく、正しい考え方ができていない人には教えても勝ちようがないし、むしろその人の資産を減らして不幸にするだけなのを知っているからです。

成績が上がるやり方を教えてもらっても、偏差値は伸びない

相場で勝てるやり方を教えてもらっても、資産は増加しない

つまり私たちを豊かにする利益の源泉は「やり方」だけではないということです。もちろん、「やり方」は大事です。「やり方」なんかどうでもいいと言っているわけではありません。しかし「やり方」だけにフォーカスしているうちは、私たちのもとに豊かさは訪れないのです。

この話は本当に深いです。考え続ける価値はあります。