私の「教える」原点

私は大学のころから家庭教師や塾をやりはじめてそのまま今にいたりますので、結構ながいことやっています。

この仕事が向いているのかいないのか未だよくわかっていないのですが、はじめて教える楽しさ、喜びを感じたのは、高校生の頃でした。

 

私は高校に入って、数学を苦手としていましたが、勉強をたくさんしたところ、いつのまにか苦手が得意になっていました。模試でもよい結果がでていたため、クラスの中でも私は数学が得意である、という認識が広まっていたように思います。

そしてあるとき、クラスメイトが私のところにやってきて、

「あんた、数学得意でしょ?ちょっと数学教えてよ。次赤点だとまずい。」

と言ってきました。

 

まあ、その子は勉強よりも遊ぶのが好きな、クラスでも目立つタイプで、成績は・・・あまりよくない・・・

でも頑張りたいというのだから、ちょっと力を貸してあげようか、と思い、それからテストまでマンツーマン勉強を始めました。

 

本当に基礎の基礎からやっていき、テストに出そうなところを中心に勉強していきました。

その子は意外と根性があり、途中で投げ出すことなく、勉強を続けられたため、発展問題にも手をだすことができ、テストを迎えました。

 

「テストどうだった?」
と聞いたら、

「うん、いつもよりできたよ。赤点はなさそう。ほんとありがとね。」

それを聞いて、ああよかったー、お手伝いしたかいがあったなー、と思ったのです。

 

 

で、驚いたのが、テスト返却時。

私は未だに覚えていますが、私のテストは95点でした。

1問ベクトルの難しい問題が出て、解き方の方向性と答えはわかったのですが、時間内に答案を書ききることができず、解答がマイナス5点されて、残念ながら満点はとれませんでした。

100点取れるテストだったから悔しいなーと思いながら席についてしばらくすると、

「ぎゃーーーーーーーー!」

とものすごい声が聞こえました。同じ階の教室すべてに響き渡るような叫び声です。

何だ!?と思うと、その叫び声の主は、私が勉強を教えた子でした。

 

泣いているようにもみえたので、すごく悪かったのかなーと思い、その子のもとへいき、答案をみました。

すると、そこには、

98

とありました。

98点!

何!?なんだこの点数は!
これにはその子も僕も先生も周りの友達もびっくり。

私は採点ミスがあったのだと思って、その子の答案を全部チェックしましたが、ミスはありません。

 

師匠である私の点数も超え、私の面目はありませんが、そんなことよりも、すごい結果を出したことに、感動というか、うまく言葉に表せない気持ちよさが身体を駆け巡りました。

その後も、ずっとその子は「やったー!!」と他のクラスに迷惑になるほどの声で叫び続けていましたが、いつも厳しい先生は何も注意しませんでした。先生もその子が頑張ったことがうれしかったのでしょうね。そして叫んでも仕方ない結果を出したわけですから。

その後、全体順位と科目順位が出されましたが、98点をとった彼女はみごと学年1位をとっていました。

 

こんなこと起こるのか、と思うことが実際に起こりました。

この時の感動の衝撃を味わいたくて、今も教える仕事に携わっているのだろうと思います。